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事例5:ドライフレックス®1・硬化不良
2017年にドライフレックス®1による硬化不良のお問い合わせが2件届きました。一方は木製サッシ補修、もう一方は縁石部分の補修にドライフレックス®1を使用したケースです。2件共、補修をしてから数年後に不具合が発覚しています。今回、業者様より不具合部分のコアを入手し、一般公開の許可も頂きましたので、以下の通り硬化不良の原因を検証いたします
コアの感触
どちらも半乾きの状態で、現在(2018年1月末)の気温が低いせいなのか、ベタつきはありませんが、ドライフレックス®本来の弾性力が無く、曲げるとポキポキ折れてしまいます。中途半端に固まった為、何となく数年間持ちこたえて最終的に不具合が露呈したように見受けられます。
<ケース1:木製サッシでの不具合
2010年頃、木製サッシの縦框に発生した幅3mm以上のクラックをドライフレックス®1で補修。
硬化後、その上からドライシールド™SKとリペアテープで全体を覆い、0.2mm以下のヘアクラック補修を行い、塗装で仕上げた。
近年再補修になり、はつり直しの際、半乾きが見つかる。
ケース2:縁石補修での不具合
縁石接合部(推測)に充填したドライフレックス®1が硬化不良によりベタつきを発生させた。
ベタつきは最近になって確認されたが、充填作業は数年前に遂行、その間に再塗装した痕跡あり。
硬化不良が起きた原因:
2件とも補修してから何年も経っており、当時使用した製品のロット番号の確認ができない為、製品自体の不具合の有無は確認できない。
よって、考え得るそれ以外の硬化不良の原因を以下の通り推測致します:
1:上塗りのタイミング
- ドライフレックス®が十分に硬化する前に塗装を施した場合、塗材との間に何らかの反応が生じることでドライフレックス®自体の硬化を妨げることがあります。
- 塗装を急ぐ場合は、ドライフレックス®の硬化状態を十分に確認してください。
2:製品劣化
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- ドライフレックス®は比較的、暑さ(熱)に弱い製品です。
- 継続的に高温下で保管した場合、使用期限内であってもエポキシ(主剤)に劣化が生じる場合があります。
- 劣化した商品は、一時硬化したように見えても樹脂の奥側は半乾きになる恐れがございます。
- 在庫が夏場の高温期を超す場合は、できるだけ湿気の少ない涼しい場所で保管してください。
3:硬化剤過多
- 以前、硬化を急ぐあまり自己流で硬化剤を多めに投入した現場があり、硬化不良でベタつきを発生させたことがあります。
- ドライフレックス®の硬化剤は多く投入しても硬化が速まることはございません。
- 多すぎる硬化剤が固める相手(主剤)不足となり、余った硬化剤が残存し続けることで硬化不良を招きます。
4:補修箇所の含水率
- ドライフレックス®の硬化前に雨や湿気等が浸入した場合は、硬化不良の原因となります。
- 過去に寒冷地で床暖房を入れたまま、床のモルタル・クラック補修をして、結露による硬化不良を起こした事例があります。
- この時のコアも今回と同様(固まっているが弾性力が無く、グニャグニャ曲がるが力を加えるとポキンと折れる)でした。
5:撹拌不良
- ドライフレックス®1は、ドライフレックス®4や16に比べてやや硬めです。
- 弊社では企業様のご依頼によりドライフレックス®の有料トレーニングを行いますが、1番に対する参加者様の撹拌の甘さを指摘させていただく事が多々ございます。
2液の硬化不良の最大の原因の1つは撹拌不足によるものです
- ドライフレックス®は、主剤と硬化剤のオリジナルの色が変化することで客観的に撹拌完了を確認いただけます。
- 1番の場合は主剤(赤色)と硬化剤(乳白色)を混ぜて全体が不透明なオレンジ色になれば撹拌完了です。
- 赤色や乳白色のダマが残っていないかよく確認してください。
すべての改修現場に共通する事だとは思いますが、作業のやり直し程つまらないものはありません。不具合が発生する時は、1つの要因よりはいくつかの残念なミスや思い違いなどが重なって発生してしまうような気も致します。
ドライフレックス®の経験を積まれたお客様も、この機会にお作業の手順を再度ご確認いただけましたら光栄です。